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個別感染症情報(2011年)

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日時:2011年4月6日
内容:衛生部通知 HIV感染に似た症状を訴える患者に関する調査状況
情報源:中国衛生部
http://www.moh.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/mohjbyfkzj/s3586/201104/51209.htm
最近メディアで報道されている、HIV感染に似た症状、いわゆる「陰性エイズ」を訴える人々について、衛生部弁公室副主任、ケ海華報道官が調査状況を報告した。

それによると、2009年6月以来、一部民衆から「HIV感染初期に似た症状が出ており、HIVあるいは未知のウイルスに感染している」という報告が衛生部に入っている。衛生部はこれらの問題提起を重視し、関連機関に対しインタビュー、調査、問い合わせを積極的に進めるよう指示し、患者の提案や要求に真摯に耳を傾け、その疑問の解決と関連知識の伝達に努めてきた。

2009年7月中国CDCは関連調査を開始したが、匿名性の問題によりそれらの人々の基本的状況は明らかにされていない。2009年9月から2010年1月にかけて中国CDCの専門家はインターネットを通じて彼らと連絡をとり、HIV感染に似た症状を訴えるボランティア59名を集め、第一次調査を行った。調査の結果、彼らはHIV抗体検査が陰性であり、関連疾病の病原体も検出されず、新型ウイルスあるいは未知の病原体感染の根拠にも乏しかった。調査対象者の語る症状がXMRV(異種指向性マウス白血病関連ウイルス)が引き起こす慢性疲労症候群の臨床症状と似通っていたため、59名の調査対象者に対しXMRV検査を行ったが、その結果はすべて陰性であった。中国CDCは検査結果と初期的結論を説明したが、彼らの納得は得られなかった。その後、中国CDCは集めた血液サンプルをアメリカの関連研究室に送り病原性検査を行った。現在アメリカ側からは、サンプルのHIV抗体は陰性で、関連疾病の病原体も検出されなかったという回答が来ている。

第一次調査の基礎のもと、衛生部はさらに専門家を組織し、HIV感染に似た症状を訴える患者の疫学的調査案を作成し、2011年2月から3月にかけて北京、上海、江蘇、浙江、湖南、広東の6省/直轄市において系統的な疫学調査を行った。目下40名に対し調査を進めており、そのうち15人は第一次調査に参加している。その結果によれば、調査対象者は様々な市や県に分布しており、集団性はみられず、調査対象者の間にも、相似する徴候や相互感染の状況はみられなかった。調査対象と濃厚接触者にも共通する特異的な感染症状や徴候はなく、伝染病感染の因果関係は認められなかった。実験室での検査結果によれば、調査対象者の通常血液検査は基本的に正常であり、感染性疾病の特徴的変化はみられなかった。免疫機能検査の結果では、調査対象者のCD4細胞は正常であった。臨床および実験室検査の結果から、対象者には感染に関わる器質性病変は認められず、主訴症状と臨床徴候も一致しない。また大部分の調査対象者およびその濃厚接触者はともに正常に仕事や勉学を続けていることが分かった。このうち一年間で2名が扁桃体疾病により入院しているのみであり、その他重篤な疾病による入院、死亡などの状況はみられていない。

衛生部の専門家は、二回の調査結果を総合し、次のように判断した。これらの人々がHIVに感染している可能性は排除される。彼らが語る疾病が感染性、集団性を持つことを示す根拠はない。臨床および実験室検査、疫学調査においても彼らが何らかの感染性疾病にかかっていることを示す根拠はみつからない。

以上
日時:2011年3月17日
内容;中国で新型ブニヤウイルスを発見 ダニにかまれ発症の元凶を特定
情報源:新華ネット
http://news.xinhuanet.com/society/2011-03/17/c_121198310.htm
ここ数年、中国の一部地域でダニにかまれることで発症する病気が相次いで発見されている。中国CDCの研究により、新型のブニヤウイルスがその元凶だと特定された。

17日出版の国際的に権威ある医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に中国CDCの最新の研究成果が掲載された。このブニヤウイルスは世界で初めての発見となる。同ウイルスは、血小板減少を伴う重症発熱症候群ブニヤウイルス(SFTSV)、略称新型ブニヤウイルスと命名されている。

中国CDC王宇(WANG Yu)所長によれば、新型ブニヤウイルスの発見は、SARSコロナウイルス特定以来の、ウイルス学研究における世界的なブレイクスルーであり、科学界において国際的に重視されている。これは中国のウイルス学および新興感染症の研究が高い水準に達したことを示している。

ここ数年、中国の一部地域では、発熱、胃腸症状、血小板減少、白血球減少を主な臨床表現とする感染性症例が相次いで報告されてきた。少数であるが中には多臓器不全で死に至る者まであった。中国CDCはこれが新興感染症である可能性について衛生部の指示のもとに研究を開始した。2009年中国CDCは国家「千人計画」(海外優秀人材招聘計画)により招いた米国テキサス大学の于学傑(YU Xuejie)教授のグループを中心に研究を進め、初めて新型ブニヤウイルスを発見した。2010年5月中国CDCはこの症例を「血小板減少を伴う重症発熱症候群」と定義し、症例の発見と監視測定に務めた。

中国CDCウイルス研究所李徳新(LI Dexin)所長は実験室の研究者を率いて湖北、河南、山東、江蘇、安徽、遼寧の6省の患者の血清からウイルスを分離した。そしてウイルスの遺伝子配列測定と同源性比較を行い、ウイルスの遺伝子構造と形態的特徴を詳細に分析した結果、このウイルスが 新型ブニヤウイルスの一種だと特定した。

また、中国CDCウイルス研究所では600名以上の患者と健康な人の血清を検査し、多くの症例をもって新型ブニヤウイルスと血小板減少を伴う重症発熱症候群との因果関係を証明した。

李徳新の説明によれば、新型ブニヤウイルスが引き起こす臨床上および疫学的特徴を研究により解明した。患者の主な臨床症状は発熱、消化管症状、血小板減少、白血球減少、腎・肝機能障害で、一部の患者には出血もみられた。この疾病は主に丘陵や山間部で発生し、患者は農業生産に携わる成人農民を主とし、一部の患者はダニにかまれている。流行時期は4-10月で、流行のピークは5-7月。

「これまでとは異なる感染症症例を発見した時、正確に即座に病因を特定し、病原体を判断できるかどうかは、感染症抑制と流行拡大防止のカギとなる」と李徳新は語る。新型ブニヤウイルスの発見は中国の「感染症および突発性公衆衛生事件ネットワーク通報システム」にとって、また疾病予防抑制システム実験室の建設にとって有益なものである。

中国CDCは全国の疾病予防システムの専門員に対し、疾病の検査測定と診断に関する訓練を行っており、大量の検査試薬を備蓄し、各省にも配布している。これにより各省においても血小板減少を伴う重症発熱症候群の実験室検査が進展するものと期待される。
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